対話による認知症高齢者の自律神経系への影響

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タイトル別名
  • Effect of dialogue on autonomic nervous system of elderly people with dementia
  • タイワ ニ ヨル ニンチショウ コウレイシャ ノ ジリツ シンケイケイ エ ノ エイキョウ

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抄録

認知症高齢者と健常者が対話を行う際に,話しの受け手である認知症高齢者の自律神経系にどのような影響があるのかを評価することが目的である.調査協力者はA 介護老人保健施設に入所している認知症高齢者14 名(平均年齢89.43 ± 3.98 才,男性2 名女性12 名,長谷川式簡易知能評価スケールの平均得点は11.79 ± 4.37 点)である.調査協力者と研究者が対話を行い,対話前後の収縮期血圧,拡張期血圧,脈拍,唾液アミラーゼ活性値,体温,SpO2 を測定した.心電図は実験開始とともに記録を開始し,実験終了まで継続して記録した.全ての指標で有意差はみられなかった.しかし,対話前後で唾液アミラーゼ活性値が9 名で低下していた.交感神経機能の指標であるLF/HF は4 名で対話中に上昇し,対話後に低下していた.副交感神経機能の指標であるHF は5 名で対話中に減少していた.認知症高齢者との対話の効果を評価するための生理評価指標として,唾液アミラーゼ活性値,LF/HF が挙げられる資料を得たと考えられた.また日中に効果的な対話を行うことは,認知症高齢者の自律神経活動を,日中は交感神経活動が優位で夜間は副交感神経活動が優位に働くという健常者に類似した自律神経活動に誘導する一助となる資料を得たと考えられた.

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