明治時代における「食人」言説と魯迅の「狂人日記」

書誌事項

タイトル別名
  • メイジ ジダイ ニ オケル 「 ショクジン 」 ゲンセツ ト ロジン ノ 「 キョウジン ニッキ 」
  • "Syokujin" in the Meiji Era and Luxun's "Diary of a Madman"

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抄録

本論は魯迅「狂人日記」の「食人」というイメージの創出について研究するもので、明治時代における「食人」言説が「狂人日記」のモチーフにある種の「母題」というべきものを提供したのではないかと考える。この観点を確証するために、主に二つの仕事に取りかかった。一つは明治以来の「食人」言説について全面的に調査・整理し、モースから神田孝平への流れを浮き彫りすること、即ち本論文の「II」-「V」であり、もう一つは、明治以来の「食人」言説全体と魯迅との「接点」を探し出すこと、即ち「VI」-「VIII」である。具体的にいえば、芳賀矢一『国民性十論』と「狂人日記」の「食人」イメージとの決定的な関連を論証したのである。最後に、「狂人日記」は主題から形式まですべてが参考と模倣によって誕生したことである――ひょっとして、これは今日まで依然として中国文学の避けて通れない道ではないか、という結論を出した。

魯迅

「狂人日記」

「明治時代」

「食人」言説

『国民性十論』

identifier:BO009600003949

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 96 103-126, 2012-03-01

    佛教大学文学部

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