天草版平家物語論(二) : 全四巻の構成

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『天草版平家物語』は、キリスト教宣教師の日本語・日本歴史学習用として編纂された平家物語の抄訳である。編・抄訳者日本人キリシタン・ハビアンは、平家物語十二巻を整理再編し、人物の行動と言葉を中心に当時の現代語による新たな「平家物語」四巻と成した。全巻を14の話群にまとめ、「抄訳の態度の転換」を指摘されている前半部・後半部の違いに着目して、原拠平家物語と比較しながら時間に関わる記述や人物のとらえ方を探ると、清盛など「不思議の人」の省略部の意味、妓王・仏物語と維盛物語の特異な位置が明らかになる。ハビアン工夫の両人問答による物語進行や、原拠章段の大胆な省略、丁寧な語の書き換えは、第一に語学テキストとしての有用性に関り、第二には、「布教の妨げとなる内容は省略すべし」との編集指示が、原拠平家物語がもつ多くの神仏(特に仏教)に関する記事・物語と衝突したことに拠る。そこにキリシタン文学者・ハビアンの苦心と密かな宣言を読み取ることが出来る。

日本語・日本歴史学習用教科書

抄訳の態度の転換

「不思議の人」

妓王・仏物語の位置

弱者維盛の物語

identifier:DB004000003103

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