無尽講の経済的意味

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  • ムジンコウ ノ ケイザイテキ イミ
  • The Economic Implications of Mujin-ko

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小柏喜久夫先生退職記念号

欧文抄録: p.152

本稿では無尽講を考察する。無尽講は頼母子講などとも呼ばれ,古来より日本で行なわれてきた互助的な金融であり,同様の組織はRotating Savings and Credit Association(ROSCA)と呼ばれ,東アジア,東南アジアをはじめとして世界中に分布している。無尽講あるいはROSCAは基本的には次のように行われる。まず,人々が集まり,一定期間の間,定期的に一定の財あるいは貨幣を持ち寄り,何らかの順で各人が受け取って行く,というものである。従来,このROSCAは銀行制度の代替的な役割を担うものとして取り扱われてきた。近代的で効率的な銀行を利用できない人々が行なうものと見なされてきたのである。しかしこの視点では,金融制度が高度に発達している日本において未だにROSCAが行われていることが説明できない。というのは,効率的な銀行から融資を受けられない人々が集まって無尽講を作り,相互扶助で融資を行なっても,その融資の非効率性から長期的には消滅することになるはずだからである。本稿の目的は,従来とは異なる無尽講の視点を提示することである。経済学におけるROSCAの理論的な研究はBesley, Coate and Loury(1993)によって始められた。彼らは上述の従来の視点からROSCAを,人々が特定の財の購入のために形成される貯蓄の一種として捉え,その配分方法によってrandom ROSCAとbidding ROSCAに大別し,それぞれについて,耐久財と消費財の2財と定常的な所得の流列を仮定したモ デルを用いて理論的な研究を行い,ROSCAが自然状態よりも効率的であることを示した。さらに彼らはその姉妹論文(1994)で2種類のRO- SCAとcredit marketとの比較を行い,2種類のROSCAが非効率的で あること,…

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