医療圏の設定に関する基礎的研究 : 「地区間移動率」を用いた階層的クラスター分析による解析

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  • A Study Identifying the Medical Regions : An Analysis by Hierarchical Clustering Using ""Inter-districtional Transfer Rate""

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抄録

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1)千葉県医療実態調査の資料により,「市町村内受診率」「地区間移動率」「隣接市町村間の患者相互移動数」「移動指数」を求め,患者の流れの傾向を検討した。つぎに「地区間移動率」による階層的クラスター分析を実施し,千葉県における実態医療圏を求め,計画医療圏のあり方について検討した。2)一般入院の市町村内受診率は全県で57.8%であり,人口当たりの病院数等の医療供給指標と強い相関を認めた。市町村間の相互依存を示す地区間移動率は,鉄道路線と関連を認めた。隣接する市町村間の移動を検討した結果,「辺縁効果」「勾配効果」の存在が示唆された。移動指数は,男性・生産年齢・入院医療・悪性腫瘍と精神疾患で大きい傾向を認めた。地区別でも格差を認め特に印旛郡,山武郡等で大きかった。3)患者の相互移動で表した地区間の結び付きの指標である地区間移動率を用いた階層的クラスター分析によって実態医療圏を求めた。4)求めた実態医療圏を計画医療圏として用いる上では地域特性はほぼ均質であるが,行政圏域や商圏とは一部で違いを認めた。圏域間の変動については近郊医療圏での人口集中や郡部での広域化が問題と思われた。5)医療圏間で医療需給の指標は地域特性を示す社会経済的指標よりも変動係数が大きく,潜在的医療需要を示すと思われる老年人口割合や粗死亡率よりも顕在化した需要である入院患者数の方が変動が大きかった。また医療圏内受診率は千葉市圏を除いて70%以下にとどまった。医療の質的量的充実が医療計画上の課題と思われた。6)地区間移動率およびそれを用いた階層的クラスター分析は実態医療圏解析の有効な方法と考えられる。

To determine the regions for health planni

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