ブリュッヒャー/ベンヤミンのアート論とハンナ・アーレント

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  • ブリュッヒャー ベンヤミン ノ アートロン ト ハンナ アーレント

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抄録

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本論文では、ブリュッヒャーの思想と、アーレントからみたベンヤミンの芸術論とを分析してきた。この分析から、アーレントの基本的な芸術観(本質論)と、そのなかからアーレント自身が取り出した芸術の現代的/政治的形式を跡づけることができる。『判断力批判』が含む、美学的議論と、反省的判断力の超越論的枠組みとが、どのように両立するのかは、あらかじめ輪郭が示されていた。それは、ホメロスを、「比喩」を自由に用いた芸術家と捉える枠組みであり、「比喩」が「美」として見られつつも「真理」を暗示する芸術作品の構造であった。この構造は、自由な創造力を解放するための条件である。このようなブリュッヒャー/ベンヤミンの「芸術」論の性質は、アーレントにおける「活動」と「判断力」のそれぞれの基本的性格である「自発性」と「伝達可能性(コミュニカビリティ)」とに、ごく初期から刻印されていたと結論してよい。

source:Studies on humanities and social sciences of Chiba University

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