「村木嵐『夏の坂道』」

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タイトル別名
  • ムラキ ラン 『 ナツ ノ サカミチ 』
  • A Book Review of Muraki Ran’s “Natsu-No-Sakamichi”

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抄録

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[要旨]2019年3月に潮出版社から刊行された村木嵐氏の小説『夏の坂道』は、日本の敗戦直後に東京大学総長を務め、現在の日本国憲法の制定や、とりわけ旧教育基本法の制定に見られる戦後教育改革に携わった南原繁(1889-1974年)を主人公にした歴史小説である。この小説の優れた点は、特にその情景描写の秀逸さと南原繁の思想、そしてその人間像への深い理解に基づいて書かれている点にあると言える。それはこの小説が出版された後にいくつかの新聞に掲載された極めて好意的な書評からもうかがえる。本書評もこの歴史小説が非常に優れたものである点については認めるにやぶさかではない。しかし本書評はそれと同時に、あえて事実とフィクションとの間の関係を問題とし、特にこの著作における教育勅語と旧教育基本法をめぐる叙述を中心に、この著作に対する問題点の指摘と批判的考察を試みる。

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