道徳教育の省察的実践 : 他者の悪魔化と対話による超克の可能性と限界

書誌事項

タイトル別名
  • ドウトク キョウイク ノ セイサツテキ ジッセン タシャ ノ アクマカ ト タイワ ニ ヨル チョウコク ノ カノウセイ ト ゲンカイ
  • ドウトク キョウイク ノ ショウサツテキ ジッセン : タシャ ノ アクマカ ト タイワ ニ ヨル チョウコク ノ カノウセイ ト ゲンカイ
  • A Reflective Practice of Moral Education : Demonization of the Other and Overcoming it

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抄録

本稿の目的は,自ら授業者として行った教職科目「道徳教育」の省察を通じて,第一に,人々が,道徳的価値判断によって,他者を「悪魔化」していくあり様を描き,第二に,そのような事態に対するコミュニケーションの可能性と限界を,ルーマンの社会システム理論を援用しながら示すことである。受講者たちは,あるカテゴリに悪を押しつける言明を,「道徳的に」行っており,それに対する省察を求めることは,新たなカテゴリによる線引きを引き起こし,ひいては,本授業自体との間に線を引くこともありえた。しかし,そのこと自体は決して問題ではない。コミュニケーションが,ルーマンの言う「相互浸透」でしかありえないとすれば,授業者の意図が,その通りに受講者に伝わることはありえないし,その必要もない。それでも授業者の見解との差異が伝わってしまうことが重要であり,その影響が,社会の一元化・多元化にとってどのような影響を持ちうるかのさらなる省察が必要である。

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