『エル・ニド』における象徴と遊び

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  • エル ニド ニ オケル ショウチョウ ト アソビ

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抄録

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映画『エル・ニド』-スペイン語で『巣』を意味する-はその題名からも推測できるとおり、きわめて象徴性に富んだ作品である。監督のハイメ・デ・アルミニャン自身が脚本を手がけているが、『フィルムセンター83、スペイン映画の史的展望〈1951~1977〉』によればハイメ・デ・アルミニャンの作品の特徴は、平凡な登場人物、日常的な状況設定、よく組み立てられた会話、決して激越にならない或る種の批判的悲観主義と人物、口語的遣り取りに対する優れた観察である。つまり、厳密な〈技〉より文学的で物語的なものが優先しているのである。それ故、彼の映画はシナリオ次第なのである。とある。1980年製作の『エル・ニド』もまさにこの特徴を備えている。そこで本論文では『エル・ニド』の文学性に目をむけ、これまでに筆者が試みてきた演劇作品の分析法を応用しつつ、『エル・ニド』で用いられている象徴表現を浮き彫りにしてゆくことで、一見、日常生活を描いているような表現をとりながら、実は神話的とも言える意味深い内容を取り扱った作品であることを明らかにしたい。

source:The journal of humanities

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