貴書に学び、稀書と遊ぶ : 能楽師下田益三(明治後〜昭和初)による書籍収集

書誌事項

タイトル別名
  • The book collection of Noh by Shimoda Masuzo (1887-1931)
  • キショ ニ マナビ 、 キショ ト アソブ : ノウガクシ シモダエキサン(シモ ダマス ゾウ)(メイジ ゴ~ショウワ ハツ)ニ ヨル ショセキ シュウシュウ

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説明

大阪のシテ方観世流能楽師・下田益三(明治20年[1887]-昭和6年[1931]は、大正時代、能楽関係書籍の収集家として知られていた。益三による書籍収集は、金銭で書物を買い集めるだけでなく、自らが筆を執って古文書を忠実に写すというものだった。例えば、桃山時代末期の伝書で諸大名家に相伝された本能寺坊官・下間少進著「童舞抄」は、大正10年、わんや書店社主で書籍収集家の江島伊兵衛所蔵の本を借り受け、模写したものである。また、益三は江戸時代以前の謡本の研究に情熱を注いだ。光悦謡本は桃山時代末期に刊行され、雲母模様の紙や本阿弥光悦流の書体が美しく、美術品として珍重されている。益三は、自らも5冊を入手したほか、大正13年は、複製本「松竹梅光悦本」を作成、頒布した。さらに、謡の地拍子をめぐり、当時の著名な研究者と議論をたたかわせることも、たびたびだった。益三は、大正時代の洒脱な気風の中で能楽と向き合った人物の一人といえよう。

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