遠方個別避難における「被災」、「避難」、「生活再建」の構造

書誌事項

タイトル別名
  • Damage, Evacuation and Reconstruction of Life in Case of the People Who Took Refuge in the Distance
  • エンポウ コベツ ヒナン ニ オケル 「 ヒサイ 」 、 「 ヒナン 」 、 「 セイカツ サイケン 」 ノ コウゾウ

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説明

本稿で考察の対象とするのは、東日本大震災・原発事故により生じた遠方個別避難である。環境社会学の重要な成果である被害構造論をベースに、遠方個別避難における「被災」、「避難」、「生活再建」の相互関係を分析した。資料は、福岡県と宮崎県での避難者・支援者に対するインタビュー調査で得たものをベースとしている。  これまで被害構造論が明らかにしてきた被害の拡大と潜在化が、遠方個別避難においても進んでいる。さらに、原発再稼働の政治的方向とも絡んで「加害-被害」よりも「災害-被災」という図式が流布し、放射能汚染への不安は心理的な反応と見なされる傾向が強まった結果「被災なき避難」という捉え方さえ現れている。加害視点の希薄化により、生活再建は避難した個人の責任に帰される危うさが観察された。  遠方個別避難の研究から、被害構造論とは異なる視点からの分析の必要性を指摘することができる。リスク回避と地域移動の視点を分析に導入することにより、リスク回避→地域移動→新たな生活像の模索→異質性の受容→新たなコミュニティの形成という過程を展望することができる。

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