生産力論におけるスミスとマルクス

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  • セイサンリョク ロン ニオケル スミス ト マルクス
  • Smith and Marx on the Theory of Productive Powers

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抄録

(1)マルクスは学説史草稿の前段でスミス地代論破綻を説き,同中段で絶対地代着眼により同破綻説を転回したが,同草稿の没後改編刊行は同転回を逸らせた。(2)スミスは製品安価の工夫=労働能力増進(価値増)→生産量増加という後者優越の両面増加を「労働生産力の増進」と呼ぶ(内生的生産力)。マルクスは同草稿以前にWNを価値不変の使用価値生産力説と解し,それを自らの方法とする。(3)同草稿前段はWN生産的労働論を重農主義化→2分化・矛盾視し,第2規定(使用価値生産力)を創出してWNの第1規定(内生的生産力)を捨象した。だがWNは後者により重農主義の難点を除去したから,第2規定説は転回を要する。(4)スミスは見えない内生的生産力説を,英国で数世紀来の戦乱による生産的労働量縮減に反して累増した資本蓄積史から消去法的に実証し,WN冒頭から貫徹させる。(5)同説は労働能力の度合増進を根拠とし,年々の動態的な経験論による。マルクス体系「プラン」初頭はその度合一定の量論だが,スミス動態論の方が包摂的である。通説はスミス生産力説を先の転回前マルクス説に同一化したが,その転回を要する。

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