大正期の文化主義論争に関する一考察 : 野村隈畔の生命主義と文化主義批判

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  • タイショウキ ノ ブンカ シュギ ロンソウ ニ カンスル イチ コウサツ : ノムラ クマ ハン ノ セイメイ シュギ ト ブンカ シュギ ヒハン
  • A Study of Culturalism Debate in Taisho Era : NOMURA Waihan's Vitalism and Critique of Culturalism

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Abstract

第一次大戦の惨禍は、当時の日本の知識人たちに大きな衝撃を与え、かれらを戦争抑止と平和再建に向けた知的営みへ向かわせることになった。大戦後には哲学者の桑木厳翼らにより各国の文化交流の促進を求める「文化主義」の主張がなされたが、桑木は第二次大戦の後も再び文化主義を唱えなければならなかった。大正期において、この文化主義をいち早く取り上げ、ベルクソン流の「生の哲学」の立場から鋭い批判を加え、生命「衝動」としての自我の「自由」と文化とを結びつける独自の「生命主義」的な文化主義を展開したのが在野の哲学者・野村隈畔である。本稿では、大正と昭和の二度にわたって提唱された文化主義をつなぐ要素として「生命主義」に注目し、これを文化主義に取り込んだ草分け的な存在である野村隈畔の思想的営為、とくに文化主義批判を中心に検討を加えた。

Journal

  • 大東法政論集

    大東法政論集 29 35-65, 2021-03-31

    東京 : 大東文化大学大学院法学研究科

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