パウル・ツェラン―「灰色の言葉」へ

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Other Title
  • Paul Celan: In Richtung „Die graue Sprache“

Abstract

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ツェランは一九五二年ニーンドルフにおける四七年グループの会合に参加した。結果はグループ賞受賞ができず惨めな失敗と言えるものだった。しかし会合を通して彼の詩を高く評価する少数の人々との出会いがあった。その中の一人ドイツ出版社のコッホや、シュレーアスの尽力で、長年の望みであった一冊の詩集を刊行することができたのである。この詩集『ケシと記憶』は大きな反響を呼び、ツェランはドイツ文壇へのデビューを果たすことができた。バッハマンの助力により可能となったニーンドルフにおける四七年グループ会合への参加は、詩人としてドイツ文壇に地歩を築こうとするツェランにとって決定的な転換点となったのである。第二次世界大戦時の体験に形を与えた『ケシと記憶』の上に立って、ツェランはさらに新しい言語表現の獲得を目指し「灰色の言葉」へ向かって歩んでいくことになる。

Journal

  • 人文研紀要

    人文研紀要 100 247-273, 2021-09-30

    中央大学人文科学研究所

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