「宇宙を冠る」: シャナ冠の造形原理を読み解く試み

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チベット・ブータン・ネパール・ラダックなどのチベット仏教文化圏の数多いチャム(chams) のなかに、僧侶たちが真黒に近い絢爛たる緞子の衣装をまとい、黒色を主役とした重厚で威厳のある独特な大きな黒い帽子をかぶった、「シャナの舞」と呼ばれる踊りがある。  チャムに関する研究はこれまで、音楽、舞踊、宗教的儀式などの視点で多大な研究成果が見られる。しかしいずれもが個別的な研究であり、チベット仏教におけるシャナ冠の造形とそれに関わる聖山信仰、シャナ冠を構成する各モチーフの象徴的意味の解読からシャナ冠の特異な造形原理を統合的な研究への探求は未だ見られない。  本研究では、デザイン学の視点から地域差によって生み出されたチベット仏教文化圏に共通するシャナ冠と須弥山、曼荼羅との関連、およびその影響を受けたとされる日本の仏教文化との関連する造形、図像の象徴性、意味性を比較しながら、これまでに明らかにされなかったシャナ冠の造形原理の象徴性を明らかにする。

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