カテコラミン産生を伴い術中に著明な血圧変動を認めた後腹膜巨大傍神経節腫の 1 切除例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF A GIANT CATECHOLAMINE-PRODUCING RETROPERITONEAL PARAGANGLIOMA THAT SHOWED DYNAMIC BLOOD PRESSURE CHANGES DURING SURGERY

この論文をさがす

抄録

今回われわれは,カテコラミン産生を伴い術中に著明な血圧変動を認めた後腹膜巨大傍神経節腫の 1 切除例を経験したので報告する.症例は76歳男性.咳嗽精査目的のCT検査で10×10×9cm大の後腹膜腫瘍を指摘され当院を紹介受診した.MRI検査で腫瘍はT 1 強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈し,PET-CT検査では腫瘍に一致してSUVmax5.5の不均一なFDG集積を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診を施行し,免疫染色でsynaptophysin,AFP陽性であった.血液・蓄尿の内分泌検査ではカテコラミンとその代謝産物の高値を認め,傍神経節腫と診断し外科的切除を施行した.腫瘍は下大静脈と腹部大動脈の間に存在し,頭側は左腎静脈を乗り越えて発育していた.周囲臓器を著明に圧排していたが,浸潤は認めなかった.術中腫瘍圧排時に著明な血圧上昇,摘出後の急激な血圧低下を認め,腫瘍より分泌されたカテコラミンの影響が考えられた.術後の血中・尿中カテコラミンは術前に比し著明に低下した.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 72 (4), 525-530, 2021-12-03

    横浜市立大学医学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ