セキュリティの昂進化と境界地域における文化 : 米加国境におけるカスカディア地方を事例として

書誌事項

タイトル別名
  • Securitization and Border Culture in the Canada-US Borderlands

抄録

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米加国境は、同じ二国間に跨る国境としては世界最長であり、世界で最も安全な国境のひとつと言われてきた。しかしながら、二〇〇一年九月一一日の同時多発テロ以降、米加国境は、潜在的なテロリズムの脅威などに直面して、これまでの二国間の友好的な歴史を反映したソフトな国境から、セキュリティの強化されたハードな国境へと変貌したのである。こうした国境の変容は、国境線を含む境界地域(ボーダーランズ)の生活空間にどのような影響を及ぼしているのであろうか。そして、セキュリティの昂進化が境界地域における新しい地理的秩序の出現を促していることによって、境界地域における文化は、どのような役割を果たしているのだろうか。本稿では、境界に関わる事象を学際的に分析する視座をもつボーダースタディーズの知見を生かしながら、米加国境において、とりわけ複数の文化やアイデンティティが混在・融合するカスカディア地方(太平洋岸北西部)に焦点を合わせ、セキュリティの昂進化する境界地域における文化の役割について考察している。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 123 (7), 231-249, 2017-01-16

    法学新報編集委員会

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