国際関係における理論研究と歴史研究の対話 : 歴史家・細谷千博の国際関係理論

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タイトル別名
  • Dialogue between International Theories and International History Studies: Diplomatic Historian Chihiro Hosoya’s International Theories

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説明

日本では、国際関係における歴史研究と理論研究の対話の機会が、アメリカのと比べると多く、この点を活かして、日本発の理論を提示させることが期待できる。いかにすれば、理論研究と歴史研究を融合できるのだろうか。  この点で注目すべきは細谷千博である。細谷は、歴史家としての業績をもとに、理論の発展に大きく貢献をしている。なかでも、日米開戦をめぐる歴史研究で、彼は日米双方の政策決定過程の分析を行い、日本での政策決定論を発展させるとともに、アメリカでの抑止研究や「誤算」をめぐる研究にも大きなインパクトを及ぼした。また、細谷は、戦前日本の政策決定において、歴史の記憶が重要な役割を演じていると主張し、歴史の記憶に関する共同研究を組織する。そこで、参加研究者により、遺族会や満蒙引揚者、黒人などの集合的記憶の分析が行われた。政治家・外交官に焦点を当てる従来の外交史研究と異なり、グローバル・ヒストリーと同様の手法を用いて、歴史と理論を融合させる研究を切り開いた。  ただし、歴史と理論の融合といっても、E・メイやM・マクミランらにより、歴史の「誤用」はしばしば指摘されることであり、この点を認識しておくことも重要である。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 123 (7), 29-48, 2017-01-16

    法学新報編集委員会

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