評価規約の規定要因 : 米山学説 (3)

書誌事項

タイトル別名
  • ヒョウカ キヤク ノ キテイ ヨウイン : ヨネヤマ ガクセツ (3)
  • Hyōka kiyaku no kitei yōin : Yoneyama gakusetsu (3)
  • Valuation rule and two conceptual views of earnings : case of Yoneyama theory (3)

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抄録

type:text

前2号で,米山学説の全体像を紹介したので,本号では,第1の論点である「事業資産」・「金融資産」分類に関する問題点の検討に入ろう。この点については,①この分類の成立可能性と,②この分類の役割に関する疑義とを俎上に載せなければならない。 まず①であるが,「事業資産」については,のれんの獲得というメルクマールだけで定義されているのに,「金融資産」については,のれんの獲得を目指さないというメルクマールに加えて,市場価格の変動の期待というメルクマールが加えられているのである。こうした定義のアンバランスは,理論的にみて問題がある。そのため,何らかの是正が講じられなければならないが,その結果は,この分類の成立可能性に疑問を提起するのである。 次に②であるが,米山学説では,「投資に寄せられた期待」が成果の捉え方を規定すると理解されている。この成果の捉え方の解釈いかんにもよるが,現行会計をもって,損益の原因を含む記録機構と考えるかぎり,「投資に寄せられた期待」 (「事業資産」・「金融資産」分類) には,損益の性質を識別する役割も,予定されているはずなのである。しかし,もともと企業価値評価に由来している「事業資産」・「金融資産」分類に,はたして,損益計算上の損益を識別する能力など,あるのであろうか。そんな疑問が湧出するのである。

論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 64 (1), 23-43, 2021-04

    慶應義塾大学出版会

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