仏教的実践へのアプローチ : フィリップ・カプローとジョン・カバット・ジンの著作を中心に

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  • ブッキョウテキ ジッセン エノ アプローチ : フィリップ カプロー ト ジョン カバット ジン ノ チョサク オ チュウシン 二
  • Approaches toward Buddhist Practices : By Focusing on Writings of Philip Kapleau and Jon Kabat-Zinn

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本論文の目的は、フィリップ・カプローとジョン・カバット・ジンの著作に焦点を当て、仏教的実践へのアプローチを分析することである。カプローはロチェスター禅センターの禅師であり、カバット・ジンは仏教的な実践をルーツにした「マインドフルネスストレス低減法」の開発者である。カプローは禅について、カバット・ジンはマインドフルネスについて様々な本を出版した。本論文では、カプローのThe Three Pillars of Zen(1965)とZen Dawn in the West(1979)をカバット・ジンのFull Catastrophe Living(1990)とWherever You Go, There You Are(1994)と比較し、彼らの仏教へのアプローチを明らかにする。カプローは禅をアメリカ人にわかりやすく説明した。しかし、禅宗から宗教色を排除したり、伝統的な実践法を変更したりしなかった。一方、カバット・ジンは、仏教の実践法から精神的、肉体的治療に必要な要素を抜粋し、その効果を科学的に証明した。また、その実践をアメリカ人に説明するとき、宗教色を全面に出さなかった。その結果、マインドフルネスは非常に普及し、医療機関、学校、企業、軍隊をはじめ様々な分野で使われるようになった。カプローとカバット・ジンの著作を分析すると、禅とマインドフルネスの共通点と相違点が明らかとなる。共通点として最も重要なのは瞑想と、「今の瞬間に意識を向ける」という仏教的な考え方である。禅とマインドフルネスの相違点は多様である。禅の修行には悟りを開くという目的があり、マインドフルネスには治療、リラクゼーション、能力開発、社会福祉という目的がある。マインドフルネスは、誰でもどこでも実践できる。一方、禅では仏教の伝統的な修行が必要とされる。以上のような多くの相違点があっても禅とマインドフルネスは同じ仏教から開発された方法であることに違いはない。

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  • 大東アジア学論集

    大東アジア学論集 21 38-56, 2021-05-31

    大東文化大学大学院アジア地域研究科

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