Peritoneal inclusion cystの腸管穿孔が保存的加療で改善した1例

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タイトル別名
  • Case report of perforation between a peritoneal inclusion cyst and intestinal tract improved by conservative treatment

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説明

Peritoneal inclusion cyst(PIC: 腹膜封入嚢胞)とは、術後の癒着や腹膜の炎症により腹膜の液体吸収機能が低下した結果、限局性に液体貯留が生じた状態を指す。手術療法を施行しても約30-50%と高確率で再発することが知られており、症状がなく悪性を疑う状態でなければ経過観察となることが多い。今回我々は、PICと腸管との間に瘻孔を形成した症例を経験したので報告する。56歳、G0P0、下腹部腫瘤感を主訴に当科を受診した。16cm大の充実性腫瘤とCA125の軽度上昇を認め、卵巣癌の術前診断で腹式単純子宮全摘、両側付属器切除、大網部分切除、骨盤・傍大動脈リンパ節郭清、虫垂切除術を施行した。最終病理診断は明細胞癌(stage IC3)であった。術後TC(PTX+CBDCA)療法を6コース施行し、化学療法終了後のCTで骨盤内に長径11cm大の嚢胞性病変を認めPICが疑われた。その後、外来経過観察中に38度台の発熱があり再診となった。炎症反応の亢進と、CTでPICと回腸との瘻孔形成を認めた。抗菌薬と絶食の保存的加療のみで軽快し、その後PICの消失を確認した。現在最終CTから半年経過し、著変なく経過観察中である。PICが存在する場合、発熱や腹痛などの症状を認めた時はPICによる腸管穿孔を鑑別の一つとして考慮する必要があると考えられた。

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