肝嚢胞腺癌との鑑別が困難であった chronic expanding hematoma の一例

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抄録

84 歳女性.手術歴や外傷歴はなし.X-1 年 3 月に腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され,CT で肝 S7 区域に約 9cm × 7cm × 8cm 大の境界明瞭な単房性の嚢胞性病変を認め,肝嚢胞の診断となってい た.X 年 2 月に CT を再検したところ,肝嚢胞性病変内に新たに淡い造影効果を伴う壁在結節を認め た.X 年5月の CT では壁在結節の増大を認め,MRI では壁在結節は T1強調像で低信号,T2強調像で 不均一な高信号,拡散強調像で高信号であり,肝嚢胞内腺癌を疑い同月に肝部分切除が施行された. 組織学的には病変は単房性の嚢胞で,嚢胞内壁に被膜を持った血腫がみられ,その内部に新生血管を 認めたが,腫瘍性病変は認めず臨床経過と併せて chronic expanding hematoma の診断となった.

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