児童に対する性的いたずらと児童ポルノ所持との関係 : 児童に対する性的いたずらに関する証拠は児童ポルノ所持に関する捜索令状を発付する際の「相当な理由」になるのか?

書誌事項

タイトル別名
  • The Relationship between Child Molestation and Child Pornography Possession : Does Evidence of Child Molestation Create Probable Cause for a Search Warrant for Child Pornography Possession?

抄録

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近時のアメリカ合衆国では、児童ポルノ所持が児童に対する性的いたずら(child molestation)に関する捜査との関係で議論されていることが注目される。すなわち、児童ポルノに関する捜査を進め、これを捜索・押収するとした場合、児童ポルノに向けられた捜索令状が必要となるが、その際には、アメリカ合衆国憲法第四修正に基づいて「相当な理由(probable cause)」が求められる。そこで、児童に対する性的いたずらに関する証拠のみでこの場合の「相当な理由」を構成するのかどうかというのである。この点に関しては、すでにいくつかの巡回区連邦控訴裁判所が判断を示しているのであるが、現時点ではこれが統一されていない。例えば、第八巡回区裁判所は、児童に対する性的いたずらに関する証拠は児童ポルノ所持容疑で被告人宅を捜索するための「相当な理由」を構成する旨判示しているが、第二巡回区裁判所等はそうではないのである。  本稿では、現在の合衆国の捜査実務がIllinois v. Gates に基づいた「諸事情の総合判断(totality of the circumstances)」テストによっているのであれば、これを前提とする限り、前者に関する証拠が後者の捜索を行うための「相当な理由」に該当すると評価することもできるのではないかということを結論とした。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 123 (9-10), 63-86, 2017-03-20

    法学新報編集委員会

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