『講孟劄記』における吉田松陰と水戸学の関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between YoshidaShoin 吉田松陰and the Mito-gaku School 水戸学 in Koumousakki 講孟劄記

説明

本稿は、吉田松陰と水戸学の関係について、松陰の代表的著書である『講孟劄記』における水戸学の扱われ方から検討したものである。従来、吉田松陰は水戸学を強く支持していたと言われながら、その思想には水戸学の影響が少ないとされてきた。そこで本稿は、『講孟劄記』における国体と性善に関する議論において、松陰が水戸学をどのように扱ったのかを検証した。結果、国体に関する議論には水戸学を全く引かない反面、性善説を孟子以前から説かれていたとすることで『孟子』の論旨から引き離し、性善説を前提とした実践強調こそ論旨であるとする議論の論拠として会沢正志斎の『下学邇言』を用いていること、そして、性善説に対するこの作業こそ、『講孟劄記』の論旨である忠誠論を『孟子』の論旨に組み込むために重要な作業であったことから、松陰は水戸学に自身の忠誠論を展開する基盤を認めており、理論的な継承関係にあると自覚していたのではないかと結論づけた。

収録刊行物

  • 国士舘人文科学論集

    国士舘人文科学論集 3 1-15, 2022-02-28

    国士舘大学大学院人文科学研究科編集委員会

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