明治初頭,日本人米国渡航者リスト解題・史料の補足―横浜発サンフランシスコ行き日本人船客リストと関連史料紹介及び考察(1):横浜出航1870年1月から6月まで

書誌事項

タイトル別名
  • List and Commentary of Japanese who Traveled to the U.S. at the Beginning of the Meiji Era, in the Year of 1870, Part1 : Leaving Yokohama from January to June
  • メイジ ショトウ,ニホンジン ベイコク トコウシャ リスト カイダイ ・ シリョウ ノ ホソク : ヨコハマハツ サンフランシスコ ユキ ニホンジン センキャク リスト ト カンレン シリョウ ショウカイ オヨビ コウサツ(1)ヨコハマ シュッコウ 1870ネン 1ガツ カラ 6ガツ マデ

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抄録

幕末維新期に渡米した日本人の渡航記録と関連情報をまとめている。今回は1870年1月―6月に横浜を出航し,約3週間後,サンフランシスコに上陸した日本人に関する一次情報を採り上げ若干の考察を加えた。 主な渡航者は,岩倉具視の子息,具定と具経,とその随行者3人の計5人の一行と,米国人ユージン・ヴァン・リードが渡米を斡旋したと思われる,旧幕臣3人と旧桑名藩士2人,その他3人の計8人の一行である。 岩倉子息一行は,長崎で英語ネイティブ話者に英語の指導を受けていたため,3人は渡米後1年,或いは2年で米国の大学に入学し,うち2人は大学を卒業し帰国した。また1人は米国から渡英し,英国の大学に入学した。 ヴァン・リードが斡旋した8人は,戊辰戦争絡みで日本にいられなくなり,僅かな手持ちの金で日本を脱出した。サンフランシスコなど西海岸で,学費と生活費を稼ぎながら勉強した。背水の陣が奏功したのか,旧幕臣の3人は渡米後2年目に大学に入学し,4年で卒業した。桑名藩出身者の2人も,渡米後2年目に,大学,ビジネス専門学校に入学した。 幕末維新期の日本人米国留学生は,全般的に,渡米後はグラマー・スクールや私立アカデミーで英語のイロハを学び,大学入学に至らずに帰国するケースが多いが,この2グループの日本人は,大学入学率が高い。 どちらのグループも,まだ不明な点が多く,キリスト教との関わり等,興味深い点も多い。今後も調査・研究を続け,次稿では7月以降の船便を扱いたい。

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