証人保護プログラムの制度設計

書誌事項

タイトル別名
  • Institutional Design of Witness Protection Program

説明

米国では、組織犯罪の解明のため、内部の者を内通者とする密行的捜査が実施されている。組織内部の人間による情報提供は、中枢にいる者を検挙し、組織を解体する重要な鍵として期待される一方、実施にリスクを伴う上、実際には、報復措置に対する恐怖から、候補者が捜査当局への情報提供を拒むなど、奏功しない事態が生じていた。また上記ケースに限られず、被疑者たる組織内部の人間から組織の情報を得ること自体、同様の理由から困難に直面し、結果的に重大な組織犯罪を検挙できない事態を招いていた。こうした問題を打開すべく考案されたのが証人保護プログラムである。  本稿では、ルーツでありモデルとされる米国の制度を中心に、その取り組みの変化を跡づけるべく史的変遷を概観した上で、諸外国や諸機関の制度を参照し、証人保護プログラムの制度設計や基本的構成要素である①保護のための必要条件、②保護プログラムへの受け入れを判断する意思決定過程、③保護期間の義務、④証人保護プログラムの終了を中心に検討を加えるとともに、立法事実の有無や導入可能性の観点から、米国の実施状況を概観することを通して、わが国の制度設計論議の留意点について考察を加えた。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 123 (9-10), 333-358, 2017-03-20

    法学新報編集委員会

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