静止軌道の宇宙状況監視技術の開発: 小型光学望遠鏡での挑戦

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タイトル別名
  • Space Situational Awareness System for Resident Space Objects in GEO Belt: Challenge of Small Optical System

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抄録

第6回スペースデブリワークショップ (2014年12月17日-19日. 宇宙航空研究開発機構調布航空宇宙センター(JAXA)(CAC)), 調布市, 東京

6th Space Debris Workshop (December 17-19, 2014. Chofu Aerospace Center, Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA)(CAC)), Chofu, Tokyo, Japan

IHIでは、20年以上前から宇宙デブリに関する研究開発を実施してきた。 主として、宇宙空間でのその場観測や、宇宙システムに対する防護、また宇宙デブリの除去に係る技術の研究開発であったが、数年前からそれらの研究に加えて、自社内に望遠鏡口径50cm以下級の小型の光学観測設備を導入して、地上からの観測を開始している。現在、IHI相生事業所に固定・据置型装置を、IHIエアロスペース富岡事業所内に可動式装置を設置し、観測を行っている。装置の設置位置はGPSにより計測しているため、富岡の装置は、各地に持ち込んで出張観測も可能である。相生事業所に設置した装置では、遠隔操作による自動観測を実施可能であり、富岡のIHI事務所やIHI本社等から遠隔運用を行っている。 現在、これらの装置、特に相生の装置を使用して、主として静止軌道帯の物体(人工衛星、宇宙デブリ)の観測を通して、観測技術の研究を行っている。 相生の観測装置は、遠隔・自動運用を実現するため、望遠鏡・架台、カメラといった通常の観測装置の他に、各種センサを装備し、機器の状態、気象状況や周囲環境が遠隔での操作者がモニタできるようになっている。 通常の運用では、夕方までに観測対象を選定し、観測計画を作成した後、装置にシーケンスを投入までを操作者が実施している。 その後、翌朝までの観測は装置が自動実行する。観測中に、例えば降雨等があった時は、装置は安全化処置がとられる。 また、翌朝の観測終了時には、観測ドームは閉じられ、装置はホームポジションに移動する。観測により取得した画像から、恒星位置を基準として、物体の位置(赤経・赤緯)を算出し、物体の軌道決定を行っている。現在、相生に設置した観測装置の性能評価を実施している。 静止軌道帯の観測範囲として、位置が既知である静止衛星を観測することで、インド洋上空から太平洋上空まで約120度の観測幅を有することを確認した。また、観測から軌道決定までの、観測システム全体としての評価のため、マヌーバを行わないことが分かっている宇宙物体を追跡している。 観測により決定した軌道を伝播し、数ヶ月間の軌道を予測し、数ヶ月後に実際の観測で得られた物体位置との比較を行う、という再帰観測により評価を行っている。 再帰観測の結果、軌道伝播による予測結果と観測結果は良い一致を示すことを確認した。今後、再帰観測の期間をさらに延ばし、評価を継続するとともに、様々な対象の観測を通して、遠隔・自動観測システムにおける観測技術の開発を継続する予定である。

形態: カラー図版あり

Physical characteristics: Original contains color illustrations

資料番号: AA1530025032

レポート番号: JAXA-SP-14-013

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050011086271667840
  • NII論文ID
    120006827693
  • NII書誌ID
    AA11984031
  • ISSN
    1349113X
  • Web Site
    http://id.nii.ac.jp/1696/00003756/
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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