Elastic Memory Consistency Models

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抄録

近年、並列計算機が実用化されるに従って、性能向上の観点から、いくつかの新しいメモリアクセス順序モデル(コンシステンシモデル)が提案された。store bufferを持つことが可能な緩和されたメモリコンシステンシモデルであるProcessor Consistency(PC)モデルに比べて、近年提案されたメモリコンシステンシモデルはプロセッサが発行するメモリアクセスに対する順序制約がさらに緩和され、リモートメモリアクセスレイテンシの隠蔽効果が大きくなっている。本稿では、PCモデル以上の自由度を持つコンシステンシモデルを議論の対象とする。プロセッサ間の同期や通信に関適するメモリアクセスに対しては、いかなるコンシステンシモデルにおいても、単一のプロセッサから発行されたメモリアクセス間に適切な順序関係の導入が必要となる。ハードウェア的にメモリアクセスの単一性順次性が保証されない場合には、acknowledge(Ack)をメモリアクセス要求元へ返送することによって、先行するメモリアクセスの完了を検知する方式が一般的である。そして、このAckを利用して先行するメモリアクセスの完了を管理することによって、先行するメモリアクセスと順序制約のあるメモリアクセスの間の実行順序を調整する。アクセス完了の計数管理が過度に複雑にならないように、代表的なメモリコンシステンシモデルは、メモリバリアと呼ばれる先行するメモリアクセスがある時点まですべて(場合によってはメモリアクセスの種類別に)完了したことを確認する手段を用いて実装される。緩和されたメモリモデルを使用した場合でも、メモリバリアを張るタイミングにおいてリモートメモリアクセスレイテンシによるコストが健在化する可能性があり、大規模並列計算機においてはこのコストが数百clockにも及ぶことがある。従来型のメモリバリアによるレイテンシコストの健在化を防止するために、メモリバリアをelastic動作可能に拡張することで、新しいタイプのコンシステンシモデルを提案する。また、メモリバリアをMemory-Based Memory Barrier に拡張することで、さらに緩和されたメモリコンシステンシモデルを提案する。

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