複数人対話を対象とした顔表情の共起パターンの確率モデルに基づく共感状態の推定

説明

本研究では,複数人対話における対話者間の共感状態を推定するという新しい研究の枠組みを提案する.ここでの共感状態とは,共感,無関心,反感の三種類の状態をとり,外部観察可能な行動を伴い対話者間で感情を伝達しあっている場面を対象として,二者の間に一つ存在する状態であると定義する.キーとなる対話者行動として,二者間での瞬時の感情伝達を可能とする表情と視線の組み合わせに注目し,各共感状態と視線の状態に対して二者の表情の間に特有の共起パターンが存在するという仮説を立てる.この仮説に基づき,共感状態の層,表情,視線及び発話からなる行動の層,及び,映像音声信号の層からなる階層的な対話の確率モデルを提案する.そして,このモデルを用いて,ベイズ推定の枠組みに基づき,観測が与えられたもとでの共感状態及びモデルパラメータの同時事後確率分布をマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて近似的に推定する.4人対話のデータを用いた評価実験により,仮説の妥当性,及び,共感状態についての人間の間での判断のばらつきを提案手法により事後確率分布として精度よく推定できる可能性が示唆された.

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