幼小接続に関する保育内容の研究動向

書誌事項

タイトル別名
  • A Review of Research Trends in Contents of Early Childhood Education and Care Related to Connections between Preschool and Elementary School

抄録

本稿の目的は,幼小接続を論じた論文を分析し,幼小接続に関する研究の動向や,5領域のいずれかの保育内容から幼小接続に関する研究を行う,各領域の保育内容に関する幼小接続研究の動向を検証した.  その結果,以下の3点が明らかになった.1つ目は,幼小接続を論じた論文数の変遷が,教育政策の影響だけでは説明できないことである.論文数は,2008年まで年0~2本だったが,2009年から年10本前後,2015年から年20本以上に増加する.2009年の直前とは違い,2015年の直前は幼小接続に関する教育政策が新たに打ち出されることはなく,2015年に増加した要因を教育政策の影響から見出せなかった.2つ目は,各領域の保育内容に関する幼小接続を論じた論文の割合が増加し始める時期は,幼小接続を論じた論文数自体が増加し始める時期から少し遅れて現れることである.先行研究では,「教育の接続」に関する幼小接続の研究が進んでいない現状を批判しているが,そうした研究は幼小接続を論じた論文自体の増加に少し遅れて増え出すものなのである.3つ目は,各領域の保育内容に関する幼小接続を論じた論文が取り上げる領域に偏りがあることである.各領域の保育内容に関する幼小接続の論文は,その数を劇的に増やしつつあるが,取り上げる領域が環境,言葉,表現に偏っているという課題を見出せる.

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