シュタイナーとフランクル : 自由と必然

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タイトル別名
  • Freiheit und Notwendigkeit, Versuch über einen Vergleich zwischen R. Steiner und V. E. Frankl
  • シュタイナー ト フランクル : ジユウ ト ヒツゼン

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抄録

シュタイナーとフランクルは中心的な活動分野こそ異なるものの、その思想には多くの類似点が見出される。本稿では哲学分野における両者の中心思想ともいえる自由に注目して比較考察する。シュタイナーには『自由の哲学』という著作があり、哲学的な観点から自由についての詳細な検討がなされているが、フランクルにはそれに対応するような著作はない。その点で両者の議論の精粗にはかなりの差があるものの、基本的な考え方には高い共通性が見られる。両者とも人間を複数の階層に分け、人間の中心(自我・人格・精神‥‥)はその中でも高次の階層にあると考えている。低次の階層からの束縛に従属することなく、高次の階層にある人間の中心に主導されている状態こそが自由だといえる。低次の階層ももちろん人間(自分)の一部ではあるが、低次の階層によって主導されているような状態は自由とはいえない。両者の自由についての見解を短く表現するなら、「自由は可能である」が妥当と思われる。両者とも現在の人間が自由であるとは見ていないが、まったく不自由であると見ているわけでもない。自由は未来に向けて実現されていくべき目標であり、現時点で自由かどうかを論じることには、それほど意味はないと考えている。また両者はいずれも「必然があるから(必然だから)自由はない」とする考え方を否定している。自由と必然は共存し得るし、むしろ必然があるからこそ自由が存在するという立場をとっている。

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