ベトナムGAPへの参加と農家作物所得 : ベトナム・ドンタップ省における唐辛子生産の事例

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タイトル別名
  • Participating in the VietGAP production and farmers' crop income : The case of chili production in Dong Thap Province, Vietnam

抄録

本研究は,認証生産システムであるベトナムGAP(Viet GAP)をメコンデルタにおいて唐辛子に最初に適用したドンタップ省の唐辛子生産に焦点を当てている。本稿の目的は,そこでのベトナムGAP参加の収支への成果と,農家所得を維持しながらベトナムGAPによる生産を促進するために適する戦略を提案するために農家所得を決定する要因とベトナムGAP生産による農家所得への効果を,分析評価することである。93戸の唐辛子農家に対する調査と分析を踏まえて,唐辛子生産は生産費の約36%を労働費が占める労働集約型であり,ベトナムGAPへ参加する農家は非参加農家と比べ肥料の投入を減らしているが,食品安全基準に厳格に従うために参加農家はより多くの種子代や農薬代を費やしていることを示している。また,ベトナムGAPへの参加は,価格の値上がりを示しながら,7,142VNDだけ1kg当たり所得を上昇させている。これは安全な生産物の推進,高価値を求める市場へのアクセス,農家所得の向上への可能性を表すものである。唐辛子の生産経験の長さや農家の世帯人数は農家の1kg当たり所得にプラスに影響する。このことは農家にとって市場リスクから自身を守るためには唐辛子生産の経験が必要であることを意味している。十分に家族労働を有することは,特に収穫期に労働需要を満たすために,生産管理を容易にしている。非公式な金貸しを利用することは農家の単位所得にマイナスに影響している。政策策定者は,農家が公式な金貸しから借りる機会を増加させるための適切な政策を打ち出すことを考慮することが重要である。

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