サイバー犯罪の現状と課題 ─デジタル・フォレンジックに注目して─

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タイトル別名
  • サイバー ハンザイ ノ ゲンジョウ ト カダイ : デジタル ・ フォレンジック ニ チュウモク シテ
  • Current Situation and Issues on Cybercrime ̶Focus on digital forensics̶

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説明

本稿は、近時のサイバー犯罪における現状と課題を、法的紛争・訴訟に対処するための一連の科学的調査手法・技術であるデジタル・フォレンジックに注目して考察するものである。近時のサイバー空間の脅威としては、新しいサービスや技術を悪用した犯罪の発生があげられる。国内では、ランサムウェアよる被害件数の増加や不正アクセスによる情報流出、国家を背景に持つサイバー攻撃集団の存在が明らかになるなど、サイバー空間をめぐる脅威は、極めて深刻な情勢が続いている。このような重大サイバー犯罪に対処するため令和4 年4 月1 日に改正警察法が施行され、サイバー警察局やサイバー特別捜査隊が設置されることとなった。  サイバー犯罪の証拠保全と分析には、デジタル・フォレンジックの手法が用いられ、その証拠能力は訴訟等において重要な要素となってきている。しかし、サイバー空間の犯罪者の技術的能力は高く、電磁的記録に痕跡データを残さない場合も多いことや、ICT技術のプライバシー保護の技術が逆に作用し、犯罪者の特定は困難になっていることが明らかとなった。さらに、デジタル・フォレンジックの手続き過程での物理コピーや情報収集・解析に関連して著作権やプライバシー保護に関する法的課題があること、また、改正警察法に対する期待と懸念があることを示した。

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