口底に認めた脂肪腫の1例

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  • A case of lipoma in the floor of the mouth

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抄録

【緒言】口腔領域における脂肪腫の発生頻度は全体の約2 %と報告されている.発生部位は頬粘膜,舌,口唇,歯肉の順に多く口底での発生は比較的まれで,2 cm以下が半数を占める.著者らは認知症を伴う70歳代女性の口底脂肪腫を経験した. 【症例と経過】近医歯科より口底部腫瘤の精査を勧められ,当科を紹介された.左側口底部に30×25㎜大の腫瘤病変を認めた.表面粘膜は滑沢で,境界明瞭,弾性軟で,粘膜下の腫瘤の一部は黄色を呈していた.病変はCTで境界明瞭な低吸収域,USでは高エコー領域を認めた.認知症および腫瘤病変により口腔清掃不良状態で,残根の歯を多数認めた.口底良性腫瘍の臨床診断の下,腫瘍摘出術を施行した.摘出物は充実性で,薄い被膜に包まれていた.病理組織学的診断は脂肪腫であった. 【結語】本病変の増大時期は認知症のため不明であったが,腫瘤の増大により口腔清掃不良を引き起こしていた.症例によっても異なるが脂肪腫を含め口腔内の環境を悪化させている原因は可能な限り早期の手術が望ましいと考えられた.

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