<解説・資料>欧米に散逸した神像群をめぐる 木材解剖学×美術史学の国際的な学際研究

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タイトル別名
  • An Interdisciplinary Study on the Wood Species of Heian Period Deity Statues Scattered in Europe and the United States

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抄録

かつて出雲地方の某神社からアメリカ、イギリス、カナダなど世界中の様々な美術館や博物館へと散逸したとされる日本の神像彫刻群について、国際的な学際研究の一環として光学顕微鏡や放射光X線マイクロCTによる樹種調査を適用した結果、モクレン属(ホオノキか)が多用されていることを明らかとした。さらに複数について放射性炭素年代測定を適用した結果、製作時期を10-12世紀に絞り込むことができた。古代の木彫像調査は様々行われているが、平安後期においてこのようにホオノキが多用された事例は、ほとんど認められておらず、神像・仏像彫刻の展開や美術史研究に新たな視座を付与するものとして注目される。これを契機に特に日本海沿岸地域における神像の調査を進めてきているが、古代、ホオノキによる木彫像制作が積極的に行われた時期あるいは地域が存在した可能性が示唆されつつあり、これまで見えていなかった木彫像の用材観ならびに文化的側面の解明に寄与するものとして期待される。本論文は、2022年3月に公開された筆者らの研究論文を総括した上で、現時点での私見を加えたものである。

収録刊行物

  • 生存圏研究

    生存圏研究 18 56-60, 2022-10-14

    京都大学生存圏研究所

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050013010132842880
  • NII書誌ID
    AA12127944
  • ISSN
    27584259
  • HANDLE
    2433/277865
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB

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