覇権安定論と国際公共財に関する一考察 -国際公共財の供給はどうあるべきか-

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抄録

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Kindleberger(1986)が指摘した「世界政府なき国際公共財」という問題は,現代世界においても未解決の問題である。現在さまざまな自国ファースト主義が世界中で主張されている。そのような状況の中,世界政治経済はどのように管理されるべきか。そのヒントを,本論文では国際公共財というキーワードに求めた。パックス・ブリタニカ時代,イギリスに創出された国際公共財は,19世紀の世界経済の成長を結果的に支えたことは間違いないが,そこにはイギリスの国益と世界経済においての公益が混在していたといえる。また,戦後のアメリカが供給した国際公共財は,西側諸国のためのクラブ財の性質を帯びていた。1970年代から80年代にかけてアメリカ衰退論がささやかれた時代では,国際公共財は,徐々にアメリカの国益を反映するものとなっていった。

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