探偵小説としての「秘密」-《秘密》をめぐって-

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  • “The secret”as a detective story-over <a secret>-

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抄録

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大正期の谷崎は探偵小説のような作品を多く書き記してきた。そしてその探偵小説群の根幹にあたる作品はこの「秘密」であろう。この「秘密」は探偵小説として一体どのような性質をもっているかを考えたとき、そこに《秘密》という概念が根底に潜んでいることが見て取れる。その《秘密》という概念が「秘密」という作品の中でどのような影響を与えているか、またそのことが「秘密」をどのような探偵小説としての意義をもたらしているか考えてみたとき、谷崎の「秘密」は通常の探偵小説とはいささか異なった特性を持っていることがうかがい知れた。単なる変態性欲やマゾヒズムといった見地とは違う立場からこの「秘密」という作品を読解していくと、そこには《秘密》と《謎》という新たなテーマが浮かんできた。

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