客体化された身体とクリティカルスコポフィリア-Karen Tei YamashitaのTropic of Orange-
説明
本発表では、カレン・テイ・ヤマシタのTropic of Orangeの登場人物の一人である、日系アメリカ人TVプロデューサーEmiが、露出欲動を持つ人物として描かれていることに注目し、この露出欲動が「非日系アメリカ人性」の主張を意味するものであり、それが、強制収容によって露わになり且つ一層強まった日系アメリカ人の身体の客体化への抗議と、その主体性の回復の試みを示しているという論を展開する。 露出欲動とはスコポフィリア(見る欲動)の一種で、スコポフィリアには、露出の他に、他者の身体や行動を見ることで快楽を得る窃視欲動がある。そしてフロイトはこれら二つの形態に二元論的解釈を付加している。つまり、「見る」行為である窃視には、能動性、男性性、そして主体としてのポジションを結びつけ、「見られる」行為である露出は、受動的、女性的な客体のポジションを占めるという解釈である。
収録刊行物
-
- 文学部・文学研究科学術研究発表会論集
-
文学部・文学研究科学術研究発表会論集 2007 83-86, 2008-03-01
明治大学文学部・文学研究科
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1050013109571313920
-
- NII論文ID
- 120005257888
-
- HANDLE
- 10291/13897
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- departmental bulletin paper
-
- データソース種別
-
- IRDB
- CiNii Articles