言語少数派の子どもとどのように戦争を学ぶか-母親と協働で行なった母語による国語の学習支援から-

書誌事項

タイトル別名
  • War-themed Language Arts Class for Language-Minority Students - Supplementary Class through L1 in Cooperation with Students’ Mothers as Native Language Supporter -
  • ゲンゴ ショウスウハ ノ コドモ ト ドノ ヨウ ニ センソウ オ マナブ カ : ハハオヤ ト キョウドウ デ オコナッタ ボゴ ニ ヨル コクゴ ノ ガクシュウ シエン カラ

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説明

本稿は言語少数派の小学生を対象に行なわれた戦争をテーマとする国語の学習を分析した。日本人支援者との協働の下、子どもの母親が母語話者支援者として参加する母語による教科学習支援である。2 組の親子に対する学習支援を事例に会話データと授業支援記録を質的に分析した結果、母親ならではの喩えや暮らしに根差した解説などを聞くことによって、子どもは現実感をもって戦争の被害とはどのようなものかを想像できるようになったことが窺えた。また身近な大人から聞いた戦争の話は子どもを怯えさせることもなかった。戦争は難解なテーマであるが、母親は教材文の主題に共感し、ことばの力を十分に活かせる母語による学習の中で熱心に子どもに働きかけていた。言語少数派の子どもたちは国語科や社会科の教科学習への参加が難しいとされるが、トランスナショナルな背景をもつからこそ、言語的文化的背景に十分配慮し、慎重な準備を重ねた上で、戦争といった難しい社会的テーマに取り組む学習を提案する。

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