低学年児を持つ保護者の学校生活に対する評価 ―発達を踏まえた教育相談の実施にむけて―

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  • Parents' evaluation of school life in the lower grades of elementary school\n- For implementation of educational counseling based on development -

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抄録

開発的予防的教育相談では,保護者の子どもに対する発達的な捉え方に応じた取り組みが協働することにつながる.本研究は保護者の子どもの発達的な捉え方を知る目的で公立小学校1 ~3 年生を持つ保護者を対象に学校生活に対するアンケート調査を行った(回収率22.1% 1 年生173 人,2 年生146 人,3 年生149 人 計468 人).調査は,ASIST 学校適応プロフィールと生活調査票を用いた.結果,学年が上がるとともに適応スキル評価の得点が上がり,特に言語性や社会性の評価は,生活習慣,手の巧緻性,行動のコントロールよりも学年を通じて高い傾向にあった.支援ニーズの高い領域は学年による違いがみられた.1 年生は意欲,2 年生は多動衝動性,3 年生は意欲や集中力に対する領域が高かった.学校生活全般に対して90%以上の保護者は肯定的感情を抱いていたが,子どもの個人的な能力に対しては,約30%が否定的感情を抱いていた.学年による違いは,1 年生は学校生活の質問に対して判断保留が多く,学校生活を評価する保護者の「内的評価基準」が定まっていないと思われた.2 年生は授業中迷惑をかけないに対して否定的感情の回答が多く,日常的に多動衝動性が目立つことを気にかけながら学校では集団の輪を乱すことなく調整的な行動をとることを期待していた.3 年生では不公平な扱いを受けた時の対応能力があり,支援よりも配慮へのニーズが高いことから子どもの自立・自律を尊重していると考えられた.

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