日本的教養(2) : 教養教育をめぐって

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タイトル別名
  • ニホンテキ キョウヨウ(2)キョウヨウ キョウイク オ メグッテ
  • Japanese Culture (2) : on liberal education

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説明

日本の教養教育は、戦前は主として旧制高校によって担われた。そこで身についたとされる「教養」も大学ではあまり顧みられず、結果的に「学歴エリート」たちの「立身出世」の手段になっていた。戦後になると、GHQは国家主義的教育を廃絶して、アメリカ流の民主的教育を植付けるべく新たに6・3・3・4制を敷いた。アメリカが民主的教育の象徴として持ち込んだものが「ジェネラル・エジュケーション」(一般教育)である。しかし、新制大学の最初の2年間に押し込められた一般(教養)教育は、専門学部と教養部の間の溝や対立に加え、教養教育を担う教員の「身分差別」があって、アメリカの一般教育で重視される「総合」化ができないまま時間が経過した。高度経済成長と大学の大衆化によって世間の実学指向はますます高まり、それと反比例するように教養の軽視が激しくなった。その後、教養教育を再生すべしとの声は徐々に大きくなり、さまざまな取組みがされたが、効果は大して現われていない。冷戦終結後の「新しい中世」とも言える混沌とした現在を生き延びるために、今、われわれに必要なのは優秀なリーダーである。このリーダーは、教養豊かなエリートでなければならない。これらの人材を得るためには、既存のシステムをいじるだけでは不十分である。新しく、チュートリアルを組入れた「教養大学」を作る必要がある。さらに、「日本型ENA」が作れれば理想的である。

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