伊勢・三河湾におけるシャコの資源動態と肥満度の変化及び加入・生残過程

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タイトル別名
  • Population dynamics, condition factor, and recruitment and survival processes of the Japanese mantis shrimp Oratosquilla oratoria in Ise-Mikawa bay, Japan
  • イセ ・ ミカワワン ニ オケル シャコ ノ シゲン ドウタイ ト ヒマンド ノ ヘンカ オヨビ カニュウ ・ セイザンカテイ

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抄録

伊勢・三河湾におけるシャコ資源の低迷要因を明らかにするため,資源動向や肥満度の推移を把握するとともに,加入・生残過程を調査した。標本船調査の結果から,2002-2004年及び2010-2012年においては伊勢湾で漁場が広く形成され,特に2010-2012年では単位努力量あたりの漁獲量(CPUE)も高く,南部での漁場形成が目立った。一方,2018-2020年においては漁場が偏在する傾向にあり,春季以降は伊勢湾北部に漁場が限られ,特に夏季以降は特定の海域に集中していた。春季の体長組成を過去と比較すると,近年では単峰型を示す年が多く,漁獲対象となる体長10cm以上の個体の割合が低くなっており,資源構造の変化が考えられた。また,肥満度は長期的には低下傾向であった。伊勢湾北部・中部・南部の各海域とも加入量指数に一定の傾向は見られなかったが,南部における1歳時春季から1歳時夏季の生残指数に顕著な減少傾向が見られた。以上のことから,伊勢湾南部を中心とした1歳時春季から夏季にかけての生残率の低下により,分布域の縮小と大型個体の減少が見られ,資源形成を阻害していると考えられた。また,生残率の低下は肥満度の低下とも関連していると考えられ,夏季を中心とした基礎生産力の低下によるボトムアップ効果の影響を受けている可能性が考えられた。

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