飼料用イネの疎植栽培が生育,収量および生産コストに及ぼす影響(2)

抄録

ホールクロップサイレージ用イネの極短穂型品種を用いて,疎植栽培で施肥量を変えた疎植N10kg区,疎植N12kg区,疎植N14kg区の3区を設定して試験を行い,施肥に対する効果を検証した。その結果,草丈は,慣行区に比べ,疎植N14kg区が最も高い値となり,1株あたりの茎数は,各疎植区で増加する傾向にあった。特に,疎植N14kg区は1株あたりの茎数の増加が大きくなる傾向にあったが,収量調査時には他の区と同等の茎数まで減少したため,施肥量は有効茎の増加には寄与していない可能性があることが示唆された。葉色は,各疎植区で慣行区に比べ濃くなる傾向があった。収量は,1株あたりの収量は各疎植区で増加したが,10aあたりの乾物収量は慣行区に比べ,各疎植区で低い値となった。本試験では出穂前に収量調査を行っており,極短穂型品種は,熟期の早い段階では,疎植栽培で収量が低くなる可能性があることが示唆された。また,疎植区の中では,施肥量を増やすほど乾物収量が増加しており,極短穂型品種の疎植栽培においても,施肥量を増加させることで,増収効果があることが確認された。生産コストは,乾物収量が低かったため,慣行区に比べ,各疎植区でコストが高くなる結果となった。今後は,生育ステージによる乾物収量の違いや,疎植栽培において収量を安定化させるための方法について,さらに検討していく必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ