広葉樹二次林の林床における被度の変化や食害の発生から捉えられた植生の衰退とニホンジカおよびニホンカモシカの出現個体数との対応

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タイトル別名
  • Decline process of the vegetation on the forest floor in the broad-leaved secondary forest captured with the variation of coverage and the emergence of feeding damage with relation to the population of sika deer and Japanese serow
  • コウヨウジュ ニジリン ノ リンショウ ニ オケル ヒド ノ ヘンカ ヤ ショクガイ ノ ハッセイ カラ トラエラレタ ショクセイ ノ スイタイ ト ニホンジカ オヨビ ニホンカモシカ ノ シュツゲン コタイスウ ト ノ タイオウ

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抄録

従来からニホンカモシカが生息し,新たにニホンジカの侵入・定着が疑われた,富山県内の広葉樹二次林内に調査地を設定した。林床の下層植物の被度の変化や食害の発生状況と,センサーカメラに撮影された両種の個体数を,5~6年間にわたって観測した。調査地の斜面上部では,草本種のチヂミザサが優占していたが,期間中にほぼ消失し,下層植物の被度は5割以下に減少した。木本種の食害は斜面下部に多く,毎年増加する傾向を示した。チヂミザサが消失した時期は,斜面上部においてニホンジカの出現個体数が増加し始めた時期と重なったことから,同種の関与が疑われた。また,食害の発生状況は,ニホンジカの個体数が増加し,斜面下部でとりわけ多く観察された傾向と一致した。ニホンジカの出現は秋季に集中しており,常緑性のヒメアオキやハイイヌガヤを好んで採食していることがわかった。調査の期末にはニホンジカが斜面上部でも増え始め,その反面ニホンカモシカは調査地全体であまり見られなくなった。これらの結果から,ニホンジカの生息域の拡大によって,林床植生の衰退が県内においても進行している可能性が指摘された。

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