尾瀬ヶ原における泥炭土壌系の物理化学的性状・窒素代謝特性と洪水影響

書誌事項

タイトル別名
  • Physicochemical characteristics and nitrogen metabolism of the peat soil system in Ozegahara under the impacts of flooding
  • オゼガハラ ニ オケル デイタン ドジョウケイ ノ ブツリ カガクテキ セイジョウ ・ チッソ タイシャ トクセイ ト コウズイ エイキョウ

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抄録

第4次尾瀬総合学術調査の一環として,尾瀬ヶ原泥炭土壌の物理・化学的性状と窒素代謝の調査が尾瀬湿原の39地点で行われた(2017年7月~2018年8月)。泥炭土壌はほぼ水飽和状態に近く,弱酸性で,NH4 +,NO3 - 量の多い土壌は脱窒活性が高かった。河川流路に近いバンクホロー複合体の湿原凹地では,土壌の可給態リン量が多い湿原にヤチヤナギが高密度に分布すると共に,NO3 - 量,窒素代謝活性と酸化還元電位の変化が水位変化と密に関連していた。湿原凹地におけるヤチヤナギ窒素固定活動の詳細調査により,ヤチヤナギの窒素固定量と樹高の間に有意な相関関係が見出された。これら調査結果の検討により,河川洪水に伴う湿原凹地へのリン供給が,尾瀬ヶ原のヤチヤナギ窒素固定活動の活性化とヤチヤナギ増殖を招いたと推論した。今後,河川洪水に伴う尾瀬ヶ原湿原へのリン供給過程と,その供給がヤチヤナギの根圏窒素固定活動とその繁殖および尾瀬ヶ原生態系の窒素循環に及ぼす影響について,更に詳細な調査研究が必要とされる。

収録刊行物

  • 陸水學雜誌

    陸水學雜誌 82 (3), 239-256, 2021-09

    松本 : 日本陸水学会

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