The Language of Pain : Eye Ache in Japanese and English
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説明
痛みは、内部感覚であり、直接的に示すことができない。従って、痛みは比喩的表現で表すことが多い。自分の痛みを相手にうまく伝えることは母国語でも難しく、患者が医師にその痛みを伝える際にも苦労することは少なくない。ましてや、外国語で痛みを伝えることはより困難であり、辞書も痛みの訳は曖昧である。本稿は、肉体的痛みの1つである目の痛みに注目し、日英語それぞれの痛み表現の意味論的考察を試みた。日英語において、シャンプーが目に入った時の目の痛みに使用する表現等に関するアンケート調査を行い、そのデータを基に論じた。結果として、目の痛みの表現においては、日本語の方がやや表現数が豊富であった。また、プールの水が目に少ししみる時の表現では、「しょぼしょぼ」とstingingが高い頻度で使われていた。しかし、他の多くの痛みの場面では、一方の言語において1つの表現に集中したが、他方の言語では2、3表現に分かれる結果となった。そこでは、前者の言語表現が後者の複数の言語表現の意味合いを兼ね備えている場合が見受けられた。この背景には、日英語それぞれの言語の特徴が関わっていることが考察された。両言語の痛み表現における1対1対応の有無等更なる研究には、痛み表現の持つ痛みの強さや持続性についての考察も必要であると考える。
収録刊行物
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- 神奈川大学言語研究
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神奈川大学言語研究 (45), 87-105, 2023-03-31
神奈川大学言語研究センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050014183344749440
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- NII書誌ID
- AN1008864X
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- ISSN
- 09153136
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- HANDLE
- 10487/00018429
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- 本文言語コード
- en
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB