地域在住の高齢女性における体脂肪および筋肉分布の推移―前期高齢者と後期高齢者の比較―

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抄録

本研究は地域在住の高齢女性の体脂肪および筋肉分布の推移を前期高齢者と後期高齢者の比較から明らかにすることを目的とした.被検者は,山梨県A市在住の高齢女性131名とした.被検者を年齢により,前期高齢者群(EG:65歳以上75歳未満)87名,後期高齢者群(LG:75歳以上)44名に分類した.被検者の体重,体脂肪率,総体脂肪量,総筋肉量,身体部位別の体脂肪量および筋肉量の測定,内臓脂肪レベルの判定は,生体電気インピーダンス法により実施した.身体組成では,体脂肪率および内臓脂肪レベルでEGよりLGの方が有意に高値を示し,総筋肉量ではEGよりLGの方が有意に低値を示した.身体部位別の体脂肪量の比較では,体幹部でEGよりLGの方が有意に高値を示した.総体脂肪量に占める身体各部の体脂肪量の割合において,体幹部および腕部ではEGよりLGの方が有意に高値を示し,脚部ではEGよりLGが有意に低値を示した.また,体幹部体脂肪量と内臓脂肪レベルの間に有意な相関関係がみられた.一方,身体部位別の筋肉量の比較では,体幹部および脚部でEGよりLGの方が有意に低値を示した.総筋肉量に占める身体各部の筋肉量の割合において,体幹部,腕部および脚部のすべての部位でEGとLGの間に有意な差異はみられなかった.これらの結果から,EGとLGでは体脂肪分布に違いがみられ,EGに比べLGの方が上半身に体脂肪が多く分布していることが明らかになった.また,両群の体脂肪分布の違いには内臓脂肪量が影響していると考えられた.一方,筋肉分布ではEGとLGに違いがみられず,両群の筋肉分布は同様であることが明らかになった.

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