卓上型流動床発生装置の製作と地学教育への 展開可能性

書誌事項

タイトル別名
  • Portable fluidized bed generator and its potential for geoscience education

抄録

適当な大きさの固体粒子を容器内に充填してその底から均一に空気を吹き込むと、粒子はある高さまで浮遊して激しく動き回る状態になる。この激しく動き回る粒子の層を流動層といい、流動層を発現させる装置を流動床という。流動床は燃焼ボイラー、ゴミ焼却炉、水処理プラント、化学反応槽、乾燥装置などさまざまな目的で工業的に利用されている。流動層と本質的に同様の現象は、自然界においても数多く認められる。例えば、火山灰が高温の火山ガスの噴出とともに流動化して高速で移動する火砕流、地震動により未固結の砂層を構成する粒子相互の噛み合いがはずれて地下水中に砂が浮遊する状態となり流動化する液状化現象、豪雨時に崩壊した斜面から供給された多量の土砂と渓流水とが混合攪拌されながら流動性が急激に上昇して高速で沢を流下する土石流などである。こうした自然現象の再現や検討に際して流動床を活用することは、基本的な機構が共通するので現象の理解の促進に有益と考えられる。しかし、 地学教育分野で流動床を活用した教具や教育事例は知られていない。 そこで本研究では、簡単・安価に作成でき、運搬や運転が容易で、学校を始めとする教育現場で活用容易な流動床発生装置の作成方法を検討し、適当な装置の緒元を紹介することを目的とした。市販の樹脂製小型水槽、塩化ビニールパイプ、左官用珪砂、家庭用排水ホース、ヘアドライヤー等を組合せて作成できる簡易な流動床発生装置の概要を紹介するとともに、地学教育への適用可能性について述べる。

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