薬剤師による薬物乱用防止教育

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  • Drug abuse prevention education by pharmacists

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抄録

芸能人のみならず一般市民の薬物依存に関する逮捕、世界における大麻合法化の動きなどの ニュースや新聞報道は、私たちの周りに薬物問題の存在が身近に、そして確実に存在しつつある ことを伝えている。世界でも大きな社会問題となっているこの問題は、国際連合(国連)薬物・ 犯罪事務所(UNODC:United Nations Office on Drugs and Crime)の 2020 年の報告による と、2018 年に約 2 億 6900 万人の人が薬物使用の経験があるといわれ、2009 年から 30%増加 し、青年と若年成人が最大の占有率であった。これらの乱用性薬物を使用することは、身体依存・ 精神依存・社会的関係の破壊などのリスクに繋がることがよく知られている。したがって、学校 や行政による「ダメ、ゼッタイ」というフレーズは、多くの人がこれまでに聞いたことがあると 思われる。 しかしながら、「どんな種類の薬物があるのか?」、「それはどんな見た目をしているのか?」、 「どれだけ危険なものなのか?」という正確な情報はほとんど出回っていないのが現状である。 また、SNS(social networking service)上では、何が正しくて、何が正しくないのかという情 報の判断は、個人の責任に負うところが多いことから、薬物に関する情報は正確に知らなければ、 適切に薬物から身を守ることができないと考えられる。 そこで、薬剤師が専門的立場から「薬物乱用防止教育」を実施する場合、ただ単に「薬物乱用 をしてはダメ」という教育ではなく、「何故いけないのか?」、「薬の適正使用教育」を含めた教 育を実践することが求められ、社会的ニーズとして「予防薬学」の実施が望まれている。 本稿では、「日本における薬物使用・薬物依存の傾向」、「日本における薬物乱用防止対策」、「諸 外国における薬物乱用防止教育」、「日本における薬物乱用防止教育」、「薬物乱用防止教育の実践 例」について記述すると共に、解説を加えた。

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