佐渡の高校生および若手在住者に対する佐渡定住に関するワークショップと意識調査報告Ⅱ -SDGs定住プログラムと情報拡散-

書誌事項

タイトル別名
  • a report of awareness research and workshops of life and settlements on high school students and local residents in Sado Island Ⅱ -SaDoGashima's Settlement Program and Information Dissemination -

抄録

新潟国際情報大学藤田晴啓ゼミナールは2022 年9 月、佐渡市羽茂小泊集落および新潟県立佐渡総合高校にて佐渡定住ワークショップおよびアンケート調査を実施し、2021 年に佐渡市が同様の調査を行った結果と比較検証した。佐渡市アンケート結果では84.6%の学生が島外に進学・就職する結果であった一方、佐渡総合高校3 年生21 名のアンケート調査では88.9%の学生が島外に進学・就職する結果となり、ほぼ数値的には近いものとなった。佐渡総合高校3 年生21 名が佐渡に住み続ける(島外進学・就職のあと)希望は72.2%であった。一方佐渡市の高校生アンケート調査ではが「未定だがいずれ佐渡に戻ってきたい」を含めると66.5%が佐渡定住を希望しており、若干数値が低くなっている。佐渡市のアンケートで個々の行政サービスに対する満足度調査では、「満足」および「やや満足」のポイントを合計した満足度が一番高かったものは「自然環境・エコ・エネルギー」であり、次に「防災・防犯」であった。この結果は、藤田晴啓ゼミナール調査での佐渡の「住みやすい要因」として「緑や水辺など自然・町のイメージ」の選択が最も多く、次に「治安」と選択された結果と一致した。 佐渡総合高校でのアンケートでは「住みにくい原因」として「通勤通学の利便性」についで「バスや公共交通機関の充実度」が指摘されており、佐渡市が実施した高校生アンケートの行政サービスに対する自由意見では「公共交通」が31%を占めており、公共交通の是正に強い要望があることが明らかとなった。 佐渡総合高校でのワークショップでは「10 歳代若者の佐渡から流出の原因とその解決策」といったかなり具体的な課題設定としたため、佐渡市主催の高校生ワークショップで報告されたような場当たり的な提案や意見は少なかった。課題解決策として「公共交通機関の充実」「進学・就職先の充実」「娯楽施設の充実」の3 点がまとめられた。小泊集落でのワークショップでは、「佐渡での住みやすい環境整備」をテーマに話し合いを進めた。3 つのグループで共通して出た意見として、「移動手段の充実」、「子育て支援の充実」、「学校の増設」、「給料に合った物価」などがあげられた。 小泊集落でのワークショップ参加者の中には、実際に佐渡での子育ての経験がある住民もいたため、過去に子育てをして何が不便だったか、どんな制度があったら良かったか、というような意見が積極的にあげられた。 藤田晴啓ゼミナールは二つのワークショップを運営したことで、これからの将来を島内で過ごすかどうか考える若者、既に島内で生活をしていてどうすればより良い生活が送れるかを考える親世代の方の両方からそれぞれの視点に合わせた意見を聞くことができ、今後の活動の指針とすることができた。

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